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鳥類図鑑

Posted on | 6月 17, 2014 | No Comments

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カラーの参考書は鳥類図鑑

 

 

昔セキセイインコを飼っていたことがある。

当時付き合っていた彼女とイムズのペットショップで見つけたのだと思う。まだ専門学生だったからだいたい9年ほど昔。

その彼女からはよく「まったくタイプじゃない」といつも言われていて、お互い様だとおもいながらも居心地は悪くなかった。

僕はロックしか聴かなかったし、彼女はヒップホップしか聴かなかった20代になったばかりのすこし偏った世界観はほとんど混ざり合わず平行線だった。

特に鳥が好きだったというわけでもなかったけれど、それが二人の間の共通項になればとお互い思ったのかもしれない。

 

彼女が実家だったこともあって当時薬院で一人暮らしをしていた僕が基本的な世話をすることになった。

飼い始めて数日、それがなぜだったかは覚えてないけど動物病院にかかったことがあった。たぶん8000円かそこらとられたと思う。レコードを買うお金には糸目をつけないくせに、その他のことに対してはなかなかケチだった当時の自分からするとLPレコードが三枚買えるくらいの出費にさぞ落胆しただろう。

そういえば鳥籠も結局買わなかった。

これはケチったというより、なるべく広い空間を自由に飛び回ってほしい!と、映画「イージーライダー」のデニスホッパーに憧れて髪を伸ばすが、チョッパータイプのハーレーに載る程の行動力はない中途半端な自分からインコに与えてあげれる最大限の自由だった。

ただ当然そうなると1Kの部屋で放し飼いにせざるをえず、至る所が糞まみれ。である。

鳥類は犬や猫みたいにトイレの場所を覚えないらしい。

覚えようという気すらないというか、あそこまで縦横無尽に頻繁に糞をするというのは

善意でやっているとしか思えない。

運がつく というではないか。そういうことだ。

幸せをわけあたえるように。

おかげで毎日隅々まで掃除をすることになった僕の部屋はとても綺麗に。


それでも毎日糞を探して拭き続けるのが嫌になり、ある日インコを説教した。

「いろんな場所に糞を撒き散らすんじゃない!」

次の日帰宅するとお気に入りの平皿の上にいくつもの糞で描いた見事としか言いようのない糞のサークルができていた。

インコからみればそれはせっかくわけあたえた幸せの種を自ら拭き取る愚かな飼い主であり、

幸せをありがたがらない風変わりな生き物だった。

皿の上の糞は別れの言葉だったのかもしれない。

 

ほどなくしてインコはどこかしらへ飛び立っていった。

だれかに幸せを届ける為に。

なかなか諦めがつかず何度も帰ってくる夢をみた。

 

そして一緒にインコを飼った彼女もいつの間にか別の男のところに去っていた。

新しい男は身長2mを超える屈強なセネガル人だった。

あまりに自分とかけ離れすぎていてすぐにどうでもよくなった。

 

雨降ってるとどうでもいいことを思い出します。

gram 蒲原

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