東京/ネオン/満員電車
Posted on | 6月 24, 2015 | No Comments
東京のネオンはかっこつけていて欲深くてまさに都会的で少し憧れた。
きっと耳を近づけるとジジジ….と身を焦がすような音が聞こえるのだろう。
満員電車の中で大きな揺れのなかで化粧をする女の子が居た。
太いアイラインを引いて、少しおおげさなつけまつげを、大きな揺れの中で表情一つ変えずに黙々とおこなっていた。
色落ちした金髪の根元は伸びていてだらしなくも見えた。
でもきっと彼女はこれから誰か(仕事かもしれないし友人かもしれないし恋人かもしれない)に会いにいくのだろう。
そのとき自分に自信の持てる姿で自分の一番の笑顔を見せるのだろうな。
またあるとき別の電車で若い男の子と同じ年くらいの女の子が隣で話をしていた。
「勉強も大事だとは思うけどさ、俺は寝る間も惜しんでクラブに行ったりとかしてさあ。俺は24歳になるんだけどいろんな人と知り合って世界を広げてんだよ。サラリーマンとか俺はすげえ尊敬するんだけど毎日同じことをやって家族養ってさあ。そういう人生も良いとおもうし、俺も家族が欲しいからね。でも今は長い人生のなかで本当の自分を探したいじゃん。自分のフィールドをさあ。それが自分の価値観になんじゃん?今が。だから俺は寝ないんだよ。」
自分の知らない世界の新しい価値観のように女の子はその話を聞いて男の子はまた話し続けた。
ほりの深い下品にならないくらいに浅黒い端正な顔立ちをした男の子ととびきり美人ではないけれど笑うと目尻に綺麗な笑いしわができる女の子。
満員電車は窮屈だけど大勢の「個人」を乗っけていること(集団ではなくて個人。高層ビルをみて、その中で働く人の個人のような)
夜のネオンは寂しげだけどしっかりと繋がり輝いていることを感じた。
蒲原 弘典
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