東村高江
Posted on | 6月 9, 2014 | No Comments
福岡空港からスカイマークで沖縄へ。
出発数日前の滞在日の天気はあろうことか初日が雷という風雲急を告げる感じで、はたして飛行機は飛ぶのか?という感じだったのだけど、何事も無く機体は博多を発ち海を越え南国の地へ無事降り立った。
快晴にはほど遠い湿りきった、けれど遠くへ来たなと感じさせるには十分すぎる博多との気候の違いを肌が包みながら空港のロビーに。
「めんそーれ」のベタすぎるお迎えにニンマリしていると沖縄の友人が高江で今晩ライブがあるから行こう。との提案。
肌を包む生暖かさと気だるさ、わずか一時間半だが10年ぶりの飛行機の疲れ。
いつもの一人旅だったら、適当な喫茶店か居酒屋で珈琲かビールで脳みそを麻痺させるところなのに、友人の全力のアテンダントに引きずられモノレールに。
気づけば運転免許持って以来初めてハンドルを握り、初めての道を恐る恐る、わずかな興奮とともに車を走らせる。
真面目そうな出で立ちにスピード狂の一面を時折のぞかせていた教官の言葉を思い出しながら。
ながらの珍道中。
あっという間に夜は更け、海沿いは潮の香りを残しながら景色を闇にとけ込ませて、それとなく風の音を残して。
那覇市を出発して高速を経由し3時間近く。海沿いは山道に。
そうして辿り着いた高江のカフェ山がめ。
公道沿いには米軍のオスプレイに反対する住民の方々の座り込みのテント。
その脇の道を車で下ると照らすものが何も無い暗闇。たよりない携帯電話の明かりをたよりに道沿いに少し歩くと、暖かい光と、談笑する声、子供たちが楽しそうにはしゃぎまわるさけび。そして誰かが奏でる音楽。
頼りないはしごに近い階段に座り10数名しか中には入れない掘っ建て小屋の中で、
石原岳さん、坂田明さん、勝井佑二さんのお三方。
とても人間的で有機的な空間で、それ以上に思える音を奏でていらっしゃいました。
谷川俊太郎さんの詩に武満徹さんが曲をつけた「あの男の残したものは」という歌。
ベトナム戦争の反戦歌としても歌い継がれているこの歌には、反戦歌以上のおおきな日常的な含みを感じていて、すごく好きな歌なのですが、今回戦争とある意味切っても切り離せないこの沖縄の地、それも今なおヘリパット、オスプレイの問題が生活の中にある高江の地でこの曲に遭遇したことを無視はできないような、目の前に立ち現れたミュージシャンからの音像を感じました。
とても素晴らしい歌なので是非。アンサリーさんバージョン。
http://www.youtube.com/watch?v=sDOSQzFZml8
なにより素晴らしかったのは、あ、素晴らしいとかいうと堅苦しいんだけれど、一週間経ってぱっと思い浮かぶのは子供たちの無邪気さかなあ。
なんかあの場でああいう無邪気さを良い意味でほうっておけたりするのは場所の良さもだし、コミュニティの狭さもあるんだろうけど、我が子以外を我が子のようにしっかりみてる。場所としてはとても安全というわけではないし、掘建て小屋のつらなりのようで、階段も少し足を踏み外せば小さな子供にはちょっとした怪我をするような。まあそれも木登りに失敗するような高さと環境だけど、それをちゃんと見守ってくれる安心感に包まれていたなあ。
バカな男子とちょっとしっかり女子の縮図が大人の中に混じって。
それはまたgramに来てくれる幼き少年少女だったりとなんら変わらなくて、ただ沖縄の
やんばるの森の中。
米軍の飛行機が低空飛行で地上すれすれを飛び、親や親戚や、大きな友人が声を上げて
戦っている。
そんな特殊といわざるを得ない環境の中でみた無邪気さに子供の奇跡を改めて感じました。
ああ写真をもっとたくさん撮っておけばよかった。もっと話をすればよかった。
また行こう。高江。
なんだか嬉しかった。実はわりと人見知りで初めての場所での立ち振る舞いを柄にも無く考えてしまって、うまくしゃべれなかったり、初対面用の自分がでるんだけれど、それでも不思議と心地よかったなあ。
また行きたいな。
これはgramのブログの中で書いてることだからってだけではなく、今感じた事。
「なんだか嬉しかった。実はわりと人見知りで初めての場所での立ち振る舞いを柄にも無く考えてしまって、うまくしゃべれなかったり、初対面用の自分がでるんだけれど、それでも不思議と心地よかったなあ。
また行きたいな。」
っていうのきっと多くの人が多くの場所で感じる事だったりして。
美容室っていう場所は緊張しやすい場所だとも思うし、何をしゃべっていいかわからない、何をしゃべろうか考えてくる人だっていると思う。
それがうまくいかなかったり、すこしばかりずれたときの居心地の悪さ、恥ずかしさみたいなものは僕も経験があるし。
そんなものを包み込んで、また来たいな。というような空気感もつくって行きたいな。もっと。
欲を言えば誰かに話したくなるような。
そんな磁場はきっとあるなあ。
gram 蒲原